先物 比較の重要な内容
インターネット上の株式取引掲示板が、投資家に対して、マーケットーメーカーを介さない形でのいわば「出会いの場」を提供したわけです。
もちろん、もともと流動性の低い銘柄ですから、売り手も買い手も希望の相手と出会うまでにはかなりの時間がかかります。
それでも、少しくらい時間がかかっても、より有利な価格で売買を行いたいという投資家には便利な仕組みでしょう。
一方、すぐに取引をしたいという投資家は、マーケットーメーカーを通じて売買すればいいわけです。
インターネット上の株式取引掲示板は、投資家同士が相対で交渉するという仕組みですので、取引所一部上場銘柄のように活発に売買される流動性の高い株式の取引には適していません。
しかし、知名度が低く、流通株式数も少ない中堅・中小企業の株式を取引するのであれば、一定の実用性があるといえるのではないでしょうか。
世界初のインターネットーファイナンスを実施したスプリングーストリート社は、知名度の低い中堅・ベンチャー企業が、証券会社の手を借りずに多数の投資家へ向けて株式を発行して資金を調達することが可能であるということを実証しました。
しかし、これで証券会社の株式引受という行為そのものが、無意味になったとまでいうことはできないように思われます。
例えば、スプリングーストリート社の場合、インターネット上での株式募集という試みそのものが初めてのことだったため、マスコミにも取り上げられるなど話題を呼び、投資家の関心を集めやすかったことは否定できません。
同じようなことを考える会社の数が増加すると、個々の会社の株式募集ぺ九ンは、インターネットの情報の洪水の中に埋没してしまいます。
これに対して、引受証券会社がついていれば、営業努力によって多くの投資家を呼び込むことが可能です。
もっとも、この問題は、インターネット上の情報を検索するサーチェンジンが充実することで、ある程度まで解決できるでしょう。
実際、サーチェンジンで直接公募ごといったキーワードを人力すれば、インターネットーファイナンスに関連するページを見つけることはそれほど難しくありません。
また、インターネットを通じた株式の直接募集を行っている会社のページヘリングを張って、ポータル的役割を果たそうとするページも登場しています。
むしろ、より切実な問題は、資金調達を考える企業にとって、インターネットーファイナンスでは計画的かつ機動的な資金調達が困難だという点にあります。
スプリングーストリート社の場合でも、一年間の募集期間全体では十分な資金を集めることができましたが、数力月、あるいは数週間では恐らく難しかったでしょう。
証券会社との引受契約に、募集期間中に投資家が現れなかった分については証券会社が引き取る、という条項を入れておけば、その点は心配に及びません。
また、一般の企業は、株式市場についての知識や経験が豊富にあるわけではありません。
例えば、株式の発行価格をどう設定するかといった問題一つとっても、発行企業が独力では解決できないケースが多いのではないでしょうか。
一方、投資家からすれば、インターネット上に掲載されている情報をどこまで本当に信頼していいのか判断がつきにくい、という問題も深刻です。
このように、企業自らがインターネットのみに頼って株式を発行して資金を調達するという純粋なインターネットーファイナンスには課題が多く、中堅・ベンチャー企業が主要な資金調達手段として位置づけることは難しいものと考えられます。
もちろん、アメリカでは、インターネットーファイナンスのローテク版ともいうべき株式直接募集が以前から定着しているわけですので、インターネットーファイナンスが単なる一過性のブームに終わると考えなければならない理由はありません。
少なくとも、インターネットを情報伝達の手段として活用することで、株式直接募集をはじめとする資金調達方法をいっそう効率化することができるのは間違いないでしょう。
そこで、インターネットーファイナンスの利点と、伝統的な証券会社による募集引受の利点を兼ね備えるものとして誕生したのがオンライン投資銀行です。
インターネット・ファイナンスの可能性世界初のインターネットーファイナンスを成功させたスプリングーストリート社の創業者であるアンドリュー・クライン氏は、株式取引電子掲示板「ウィットトレード」の運営がSECの指示によって停止された直後の九六年四月、世界初のオンライン投資銀行ウィットキャピタルを設立すると発表しました。
ウィットキャピタル設立の目的は、スプリングーストリート社による株式募集と、ウィットトレードの試みによって実証されたインターネットの利用可能性を他の企業にも広め、資金調達者と投資家、さらには投資家同士を直接的に結び付ける仕組みを作り上げることにあるとされました。
オンライン投資銀行ウィットキャピタルは、通常の投資銀行(証券引受ビジネスに携わる証券会社)と同様に、株式の新規公開(IPO)等に際して、引受証券会社(あるいは販売証券会社)の一つとして参加し、主幹事証券会社から一定の株式数の配分を受け、自社の顧客向けに販売するというビジネスを展開しています。
ウィットキャピタルの特徴は、その際、投資家への販売チャネルとしてインターネットを活用し、通常はIPOのプロセスに参加することが難しい個人投資家への販売を行う点にあります。
また、自社に口座を開設している顧客だけでなく、インターネットを通じたオンライントレードを行っている他の証券会社を「eディーラー」として組織化し、販売力を強化するという仕組みをとっています。
ウィットキャピタルのホームページで情報を登録した個人投資家は、ができます。
メールには、発行会社名、会社の簡単な事業内容、引受証券会社名、予想される販売株式数や価格のレンジなどが記載されています。
それを読んで関心をもった投資家は、ホームページに掲載されている目論見書をダウンロードしてさらに詳しい情報を入手したうえで、株式買い付けの申し込みをすることができます。
もちろん、実際に株式を購入するためには、ウィットキャピタルもしくは「eディーラー」となっている証券会社に株式取引口座を開設している必要があります。
買い付けの申し込みは、原則として先着順で処理されます。
オンライン投資銀行の例としては、九八年一月に設立されたWRハンブレクトも広く知られています。
同社は、ハイテク、TIT分野のIPOに強い投資銀行として名高いハンブレクトーアンドークイスト(H&Q)の創業者の一人であるウィリアムーハンブレクト氏が、自らが育て上げた投資銀行を退社して新たに設立したものです。
WRハンブレクトの特色は、IPO銘柄の公募価格と配分先を、投資家がインターネットを通じて参加するオークションによって決定するという「オープンーPO」の仕組みを採用した点にあります。
アメリカでは、通常、IPOの価格と配分先は、主幹事となった投資銀行が、機関投資家に対するヒアリングを通じて決定する、いわゆるフッタービルディングによって決められます。
これに対して、WRハンブレクトは、フッタービルディングが市場原理を貫徹していないと批判し、これまでIPOのプロセスから排除されてきた個人投資家を機関投資家と同じ土俵に立たせるべきだと主張しています。
なお、ウィットキャピタルは、三菱商事などと合弁会社を設立して日本市場へも進出しています。
このウィットキャピタル証券は、二〇〇〇年五月から個人投資家向けのオンライントレードーサービスを開始しており、今後、本格的にオンライン投資銀行業務を展開していく計画です。
即コスト引き下げをねらうオンライン投資銀行は、IPOのプロセス全体をインターネットによって処理しようというものではなく、投資家への販売や価格決定(WRハンブレクトの場合)などにインターネットを活用することで、引受証券会社としてのコストを引き下げることをめざしています。
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